北朝鮮将校と韓国財閥令嬢の恋――。この夏、動画配信大手ネットフリックスが放映する韓国ドラマ「愛の不時着」にくぎ付けになった人は多いだろう。「冬のソナタ」第1話で挫折してから韓流ドラマから遠ざかっていた記者も、韓国を代表する2大スターの競演にはまってしまった一人だ。でも全話を見終えた今、湧き上がる疑問。本当の北朝鮮はどうなのか? 元NHK記者で北朝鮮を何度も訪れたことのある桜美林大の塚本壮一教授(55)に、気になる12の疑問をぶつけてみた。【國枝すみれ/統合デジタル取材センター】
疑問1 ドラマではまず、ヒロインの韓国財閥令嬢ユン・セリ(役:ソン・イェジン)がパラグライダー事故で北朝鮮に不時着してしまいます。普通、不時着したらどうなりますか?
塚本:100%、国家保衛部(スパイ摘発や情報収集などに従事する治安機関)に引き渡されます。米国人の大学生オットー・ワームビアさんは2016年、旅行で訪れた北朝鮮で、ホテルから政治スローガンが書かれた看板を持ち帰ろうとして国家転覆陰謀罪で有罪になりました。(1年半後に意識不明の状態で米国に身柄を返還され、その後死亡。)外国人は挙動不審なだけでスパイ罪などに問われる可能性があります。有罪となれば労働教化刑をうけ、長く収監されます。
疑問2 セリと恋に落ちる北朝鮮の軍人リ・ジョンヒョク(ヒョンビン)はもちろん、部下の軍人4人や村の女性たちも、素朴で親切に描かれていますね。実際はどうなんでしょう?
塚本:一般の住民はある意味、すれていないかもしれません。02年の日朝首脳会談の際、平壌の金日成広場で市民をインタビューしましたが、7、8割は教科書通りの発言をしましたが、2割ほどは頭が真っ白になっている感…
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1991年入社。英字新聞毎日デイリーニューズ編集部、西部本社福岡総局で警察担当記者、ロサンゼルス支局、メキシコ支局、ニューヨーク特派員を経て、2019年10月から統合デジタル取材センター。05年、長崎への原爆投下後に現地入りした米国人記者が書いたルポを60年ぶりに発見して報道し、ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。
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