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戦後75年

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戦後75年

父が語らなかった日中戦争 苦悩に「向き合いたい」 娘が短歌に込めた思い

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書き付けた短歌を見つめる森和恵さん=前橋市内で、菊池陽南子撮影
書き付けた短歌を見つめる森和恵さん=前橋市内で、菊池陽南子撮影

戦地の記憶、託されたアルバムに

 前橋市三河町の森和恵さん(83)は、一冊のアルバムを大切に保管している。日中戦争に出征していた父・関根龍太郎さん(82歳で死去)から死の間際に託されたものだ。復員後も戦地の記憶に苦しみ続けた父。いま、色あせたページをめくり、父の生涯に思いを巡らせる。【菊池陽南子】

 森さんはアルバムを開き、一枚の写真を指さした。1942年の夏。父が北海道の北千島の部隊に赴く日を前に、家族で海水浴に出かけた時に撮影したものだった。父は子らを抱き上げ、波乗りさせてくれた。森さんは「その胸の温かさを今も覚えています」と振り返る。

 終戦を迎えた年の10月、復員した父は別人のようだった。帰りを喜ぶ家族に「俺は死んだものと思ってくれ」と布団をかぶり部屋から出てこなかった。戦争の話に触れると、鬼のような形相で「貴様!」と怒鳴りつけた。「それまでの優しい父の声とは全く違う、身を切られるような声でした」。机に置いた父の手が震えていたのを覚えている。

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