講談師・神田香織さん 「はだしのゲン」にサックスや人形を加え「立体講談」化 被爆の地獄絵図、舞台で
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広島・長崎に原爆が投下されて75年。自身の被爆体験をもとに描いた中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」を、「立体講談」として舞台化した作品が今月12日、東京・下北沢で上演される。新型コロナウイルス感染拡大の影響が続く中、ようやく実現にこぎつけた公演を前に、演者である講談師の神田香織さん(65)、ミュージシャンの坂田明さん(75)に聞いた。
「まともに仕事ができたのは2月ぐらいまででしょうか。東京オリンピックが延期され、外出自粛が呼びかけられるようになってからは、寄席がどこも厳しくなって、8月まではキャンセルや延期ばかりでしたね」。今も続く演芸界への影響について、神田さんはそう語った。
緊急事態宣言は5月下旬に解除となり、寄席も再開されたが、「3密(密閉、密集、密接)」を避けるために観客人数を制限せざるを得ない状態が続く。「割(出演料)」が交通費に満たずに持ち出しとなることも珍しくないが、「こういう時だからこそ、寄席を楽しみに来てくれるお客さんもいる。声がかかれば喜んで出ます」。
原作者・中沢さんの承諾を得て、神田さんが「はだしのゲン」を講談として発表したのは1986年のこと。戦時下の広島を懸命に生きた少年一家。彼らを襲った原爆の実相と惨禍を描いて反響を呼び、30年以上にわたって各地で公演を重ねてきた。今回は、…
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