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余録

スパイ小説では暗殺が「ウエットワーク」…

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 スパイ小説では暗殺が「ウエットワーク」、つまり「湿った仕事」と呼ばれている。ウエットは流血からの連想らしいが、いかにも陰湿な感じがする。この言葉、もともとがロシア語に由来するといわれる▲しかもそれが毒殺となれば、陰湿さ、暗さは救いがたい。有名なのは冷戦時代のロンドンで、亡命ブルガリア人が傘の先に仕込まれた毒物で暗殺された事件である。だが冷戦が終わっても、この手の暗殺が終わったわけではなかった▲14年前にはやはりロンドンでロシアの元スパイが毒殺され、英政府がプーチン政権の関与をほのめかす調査報告を出した。そして2年前の英国でのロシア人父娘の毒殺未遂では市民が巻き添えで死亡し、英露関係に緊張をもたらした▲今回の毒物も2年前の英国での事件に使われた神経剤ノビチョクと同系統の化学物質だと分かった。ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏が国内を旅行中に突然体調を崩し、毒物による中毒と見られてドイツに搬送された事件である▲ノビチョクは冷戦期のソ連で軍事用に開発された物質で、入手は容易でない。調査した独政府は病変を毒殺未遂と断定、ロシア側に説明を求めた。また英仏の外相や欧州連合(EU)も一斉に「卑劣な行為」などと犯行を非難した▲当局の関与を疑う欧米諸国に対して、ロシア側は国内で毒物は検出していないと平然たるものだ。だがたとえ真相が闇に封じられても、その闇のじとっとした陰気な湿り気に世界はへきえきしているのである。

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