
「アベノミクス」「1億総活躍社会」「働き方改革」などさまざまなキャッチフレーズを掲げてきた歴代最長政権は、私たちに何を残したのか。安倍晋三首相自身は辞意を明らかにした記者会見で「歴史が判断していく」と答えたが、有識者はどのように見ているのだろうか。安倍政権のレガシー(政治的遺産)に迫る。
柔軟な経済政策と賢さと我慢 石原俊・明治学院大教授
安倍晋三首相は、文字通り「断腸の思い」で辞意表明したのではないか。私は、第2次政権下で進行した法の支配の軽視や官僚制の劣化などを深く遺憾に思うが、彼の心境は「理解」ができる。何しろ、安倍氏には、歴史教科書に残るだろうレガシーがないのだから。ただし、長期政権を維持できた要因の中には、本物の「レガシー」があるとも考えている。
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