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社説

避難情報の見直し 行政はきめ細かい対応を

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 災害発生時に市区町村が住民に伝える避難情報について、内閣府が見直し案をまとめた。

 避難勧告と指示が併存している現状を改め、指示に一本化する。来年度からの運用を目指す。

 本来、勧告が出たら住民はすぐに避難を開始することが求められる。だが、過去の災害では、指示が出るまで動かない「指示待ち」となる住民が少なくなかった。

 実際、内閣府が昨年の台風19号の被災地住民約3000人を対象に行ったアンケートで、今後避難するタイミングを聞いたところ、勧告の時点は26%にとどまり、指示の時が40%に上った。

 昨年導入された5段階の警戒レベルでは、勧告と指示が同じレベル4に位置付けられている。このことが二つの情報の違いを分かりにくくしているとも指摘される。

 見直し案では、指示を従来の勧告の段階で出すことにする。一本化によって分かりやすくなるのは間違いない。

 ただ、勧告が避難行動につながらないのは発令の仕方のせいでもある。勧告は市区町村全域に出ることが珍しくなく、対象住民が100万人を超えることさえある。これでは危機感を持ちにくい。

 一本化に合わせ、発令の対象範囲を絞り込む努力が欠かせない。事前の調査や気象情報などの幅広い活用で、地区ごとに危険度を見定める必要がある。

 市区町村には、状況が一層切迫してきた時に出せる「念押し」のカードがなくなることへの不安もある。このため、緊急に安全の確保を求める情報を新たにレベル5に設ける案も盛り込まれた。

 だが、避難を促す情報が2段階で出ると受け取られると、現在の「指示待ち」と同じことになりかねない。レベル5では避難するには遅すぎ、命を守る最善の行動を取るよう求められる。この位置付けを明確にしなければならない。

 防災情報には避難情報のほか、気象庁が出す注意報、警報などがあり、全体の整理が課題となってきた。近年、気候変動を背景に見直しが繰り返されている。

 制度の定着を図るうえで大事なのは簡素化だ。ただ、それに伴い、よりきめ細かい災害対応と住民への啓発が求められる。行政の責任は重くなると考えるべきだ。

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