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社説

自民総裁選で菅氏優位 安倍政治継承だけなのか

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 安倍晋三首相の辞任表明を受けた自民党総裁選は、告示(8日)前から菅義偉官房長官が優位な状況になっている。党内の大半の派閥が競い合うように菅氏への支持を早々と決めたからだ。

 総裁選には石破茂元幹事長と岸田文雄政調会長の出馬も決まっているが、このままでは消化試合になりかねない。新型コロナウイルス禍の中での選挙といっても、そんな後継選びでいいはずがない。

 菅氏は出馬表明会見で、安倍政治を継承し、前に進めると強調した。官房長官として政権の中枢を担い続けてきた立場からすれば継承は当然なのだろう。

 ただし、前に進めるためには、まず7年8カ月に及んだ安倍政治をきちんと総括することが不可欠だ。にもかかわらず菅氏の発言は、安倍政治に全く問題はなかったと言っているのに等しい。

 政府のコロナ対策は後手に回り、国民が求めていることとのズレが目立っている。アベノミクスもコロナ禍の前から限界が見え始めていた。首相交代はこうした政策を修正する好機のはずだ。

 総裁選では、財務省が公文書改ざんに手を染めた森友学園問題をはじめ、加計学園問題や「桜を見る会」の疑惑も争点となる。

 いずれも安倍首相自身の関わりが指摘され、民主政治の根幹を揺るがす問題でありながら、疑問点は今も解消されていない。首相の辞任でうやむやにはできない。

 森友問題について、石破氏は再調査が必要だとの考えを示し、岸田氏もさらなる説明を求めている。ところが菅氏は「既に結論が出ている」と取り合おうとしない。これでは不信は強まる一方だ。

 菅氏の出馬表明後、細田派、麻生派、竹下派の3会長が合同で記者会見を開いたのも異様とさえいえる光景だった。

 共同会見で麻生太郎副総理兼財務相は、いち早く菅氏支持で動いた二階派会長の二階俊博幹事長への不満をにじませた。菅氏選出後の組閣人事などでも二階氏に主導権を取られたくないという意図は明白だった。

 政策論争は二の次で、関心は今後の党内の力関係がどうなるかなのだろう。国民の目をまるで忘れたようなポスト争いも、長期政権のおごりの表れと言っていい。

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