メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

時の在りか

菅さんは辞める気だった=伊藤智永

魔よけのアイヌ文様マスクで記者会見する菅義偉官房長官=首相官邸で5月7日、竹内幹撮影

 8月1日付のこのコラムで「もう菅政権になっている」と書いたのには、少々込み入ったいきさつがある。新型コロナ感染症がこんな大事にならず、安倍晋三首相の体調が悪化していなければ、菅義偉官房長官は6月の国会会期末にも電撃辞任するつもりだった。来年9月の自民党総裁選に立候補するため「安倍離れ」を始めなければならなかったからだ。それが今や「安倍政治継承」を掲げて後継の座をほぼ手中にしたのだから、政治の一寸先は分からない。

 菅氏は「令和おじさん」と呼ばれた昨年来、本気で「ポスト安倍」を狙い、準備していた。「全く考えていない」という答えは、現職の官房長官ならそう言うしかない。

 潮時と考えたのは、「桜を見る会」問題で報道各社の内閣支持率がみるみる下がり、長期政権に対する世論の飽きと官邸主導の行き詰まりを痛感した昨年11月ごろらしい。このまま官房長官に長居しては「安倍亜流」のレッテルを貼られる。それは避けたい。それが当時の空気だった。

 思い描いたのは、第1次安倍政権「放り出し」の後、福田康夫氏が担ぎ出された先例だ。福田氏は森喜朗・小泉純一郎両政権で官房長官を務め力量を示したが、年金未納問題を理由にあっさり辞めて小泉政治と距離を置いた。その立ち位置が、小泉直系の第1次安倍政権が倒れた後にはうってつけだった。

 コロナ感染拡大、首相の持病再発と状況は二転三転し、「辞任シナリオ」はお蔵入りしたものの、自民党各派閥が「菅本命」へ雪崩打つ現象は「福田方式」の通りになった。「放り出し」を避けたい安倍首相が、政策継続を条件に「菅禅譲」を選んだ結果の成り行きだが、首相も昨年末には「もしもの時は菅さん」と予期していたフシがある。8年近い実績が流れを呼び込んだわけだ。

 「安倍離れ」から「安倍継承」へ機敏に看板を差し替えた何食わぬ顔こそ、菅氏の真骨頂である。

 「菅さんは辞める気だったけど、こうなっちゃったからね。それに、…

この記事は有料記事です。

残り1252文字(全文2056文字)

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 虫歯治療後に2歳死亡 福岡の小児歯科元院長を近く在宅起訴へ

  2. 「やる気ないなら担当変える」河野行革相、放送規制改革で文化庁に発破

  3. 医師と歯科医師24人を行政処分 厚労省発表

  4. 安倍政権が残したもの 私たちが大事「彼ら」は攻撃 オウム真理教報じた江川紹子さんが読む「カルト化社会」

  5. 「首相、今井、佐伯で決めていたやり方がらっと変わる」 キャリア官僚の本音 菅政権で沈む省庁

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです