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社説

陸上イージスの報告書 検証にはほど遠い内容だ

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 陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画の撤回について、防衛省が報告書をまとめた。

 迎撃ミサイルの推進装置「ブースター」を安全な場所に確実に落下させると地元に約束したが、守れなくなった。北朝鮮の弾道ミサイル発射が相次いでいたため配備を急ぐ必要があり、裏付けが不十分なまま地元に説明したという。

 河野太郎防衛相は「慎重さ、誠実さを欠く対応だった」と語り、陳謝した。

 河野氏は6月に撤回を表明した際、ブースターの落下問題が原因だと説明した。

 報告書は、これに沿ったものだ。わずか9ページの本文は、ほとんどが事実関係の羅列だ。河野氏は経緯を検証すると語ってきたが、これで検証と言えるのだろうか。

 計画は、配備候補地やレーダーなどの選定がずさんで、実際には行き詰まっていた。ブースター問題にかこつけて撤回したのではないかとの見方が広がっている。

 秋田県内の候補地では、選定資料に重大な誤りがあった。住民説明会では防衛省職員が居眠りをし、批判を浴びた。地元の反発は強く、配備先は白紙となっていた。

 陸上イージスのレーダーには、実績も試作機もない機種を選んだ。これには自衛隊関係者らから異論が出ていた。

 政府は計画を撤回する一方、このレーダーを契約通り購入し、転用する方針という。疑問が出ている以上、これも選定の経緯を検証する必要がある。

 身内による調査や検証が難しいのであれば、弁護士など外部の人材を加える方法もあっただろう。

 報告書の公表は、政権移行期になった。混乱に乗じて問題の幕引きを図ろうとしていると受け止められても仕方がない。公表で終わりにせず、報告書について臨時国会でも議論すべきだ。

 ブースターの問題について、防衛省の事務次官らが把握しながら、河野氏に約半年間報告しなかったことも明らかになった。

 国の安全保障政策は、国民の信頼なしには成り立たない。防衛省は今回の報告書を、計画撤回で失った信頼の回復への第一歩にすべきだった。検証が不十分では、その道のりは険しいものになる。

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