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ブラック・チェンバー・ミュージック

/389 阿部和重 写真・相川博昭

 

 こうなったら、なにも知らぬまま帰路につくよりはましだったとでも前むきにとらえ、不審者に注意しつつ先を急ぐしかない。

 そんな考えを抱く前から、横口健二は自然と足早になって駅までの最短ルートを脇目も振らず歩いている。

 いつも往来している道だから、うつむきっぱなしで足もとだけを見つめながらでも三軒茶屋駅にはたどり着けるはずだが、高まる警戒心がそうはさせてくれない。念のため、すれちがう通行人の人相をひとりひとりチェックしておくべきかと思いたち、だれかやってくるたびにちらちらそちらへ視線を向けているからだ。

 時刻はもうじき午後五時をまわる頃だ。日没にはまだ早いものの、今日という一日が終わりに近づきつつあることを実感させる場面にそこここでゆきあたる。

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