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中村桂子・評 『魚食の人類史 出アフリカから日本列島へ』=島泰三・著

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『魚食の人類史 出アフリカから日本列島へ』
『魚食の人類史 出アフリカから日本列島へ』

 (NHKブックス・1540円)

脳を育て氷期を乗り越えさせた

 魚料理は大好きだが、狩猟採集から農耕へと移行する人類史の中で、重要な食べものとして魚をイメージしたことはなかった。人類史は、最近数多くのデータが出され、正解を求めてのさまざまな物語が提案されている分野である。本書は、霊長類で積極的に魚を食べるのはH(ホモ)・サピエンスだけであり、そこに大きな意味があるという視点が、興味深い。

 2000万年前に始まる大型類人猿の時代には魚食の記録はなく、人類でもそれが確認されるのは、H・エレクツスからである。アウストラロピテクス属からヒト属への移行の際の脳容量の増大を促したのが食物の変化、つまり魚食の始まりだったのではないかという説が出始めている。脳のはたらきに重要な役割をするDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などの不飽和脂肪酸が魚類に多く含まれているというこ…

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