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佐藤優・評 『東條英機 「独裁者」を演じた男』=一ノ瀬俊也・著

『東條英機 「独裁者」を演じた男』

 (文春新書・1320円)

精神力を重視した総力戦思想

 日本が米国、英国などと開戦したときの首相で、太平洋戦争後、極東軍事裁判においてA級戦犯として死刑を言い渡され、執行された東條英機(1884~1948年)に関する優れた評伝だ。

 1929年8月1日付で東條英機陸軍歩兵大佐は、東京の歩兵第一連隊長になった。連隊長としての東條は部下の面倒をよく見る人情家と評価されていた。しかし、そこには東條なりの冷徹な計算があった。<東條連隊長が兵卒たちを愛護した背景には、当時の陸軍が置かれていた時代の変化があった。一つは共産党など社会主義勢力による反軍運動の高まりである。兵士たちを過酷に扱えば、その恨みは左翼に利用されてしまうと考えたのだ。もう一つはデモクラシー思想の普及である。権利義務の観念が発達した者も少なくない現状に鑑み、第一次大戦後の後期の陸軍では「兵卒には『自覚的』な『理解ある服従』が求められると同時に、将校に対しても、兵卒の人格の尊重や常識の涵養(かんよう)が求められ」ていた(黒沢文貴「大正・昭和期における陸軍官僚の『革新』化」)。「人情連隊長」としての東條の事績の一つに、徴兵された兵が除隊して社会復帰する際の再就職の面倒をみたことが挙げられている>。第一次世界大戦中、陸軍国のロシアと…

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