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民主活動家・周庭さんは「女神」なの? もやもやの理由を探る

来日して記者会見する周庭さん=東京都千代田区で2019年6月10日、吉田航太撮影

 香港国家安全維持法(国安法)違反容疑で8月、逮捕(その後保釈)された民主活動家、周庭(英語名アグネス・チョウ)さん(23)。ツイッターでは「#FreeAgnes」のハッシュタグを付けて逮捕に抗議する書き込みが数多く寄せられる一方で、日本のメディアが周さんを「民主の女神」と報じたことに「違和感がある」との声が相次いだ。確かに記者ももやもやしていた。「女神」の何が問題なのか、改めて考えた。【牧野宏美/統合デジタル取材センター】

「民主の女神」報道に違和感の声

 8月10日の逮捕に関する報道では、大半の新聞やテレビが周さんを「民主の女神」と表現していた。

 例えば、「『民主の女神』周庭氏逮捕か」(8月10日、朝日新聞デジタルの見出し)▽「香港“民主の女神”逮捕の衝撃」(NHK「ニュース7」ホームページの番組内容紹介)。

 毎日新聞はどうかと思って調べたところ、逮捕の一報や見出しにその言葉はなかったが、8月11日夕刊のコラム「近事片々」で登場。「『民主の女神』、新聞創業者――。香港で相次ぐ民主派の逮捕」と記されていた。

 「民主の女神」報道に対し、ツイッターではこんな意見が上がった。

 <周庭さんのことを『民主化の女神』と呼ぶのはよしてください。彼女は仮に女性でなかったとしても、同じ活動をした可能性があるではないですか>

 <周庭を『美少女』として記号消費しているようで違和感を覚える>

 <特定の活動家を神聖化する振る舞いこそが国家や警察権力による標的化をむしろ推進する行為でもある>

フォロワー51万人 雨傘運動以降「女神」定着か

 周さんはそもそも、いつから「民主の女神」と呼ばれるようになったのか。

 まずは簡単に経歴を振り返る。周さんは2012年に愛国教育の導入に反対する運動に参加。17歳だった14年、民主的な選挙制度の実現を目指した「雨傘運動」に加わり、中心的メンバーとなる。16年には香港の自決を求める新党「香港衆志」の幹部となった。今年6月の国安法の施行後は香港衆志を解散し、個人で活動を続けている。

 日本のアニメやアイドルが好きで、独学で日本語を習得。日本語で発信するツイッターのフォロワーは51万人を超え、日本でも広く知られる存在だ。

 毎日新聞のデータベースでは、周さんが初めて登場するのは16年3月。周さんが幹部を務めていた団体の解散を報じる記事だ。

 周さんを「民主の女神」と紹介するのは、周さんが来日した19年6月の記事が最初だった。ちなみに、共同通信のデータベースでは、15年10月が初出。雨傘運動から1年後の香港の状況と周さんの思いを伝える記事だ。雨傘運動以降、知名度が上がった周さんの呼称として広がったように見える。

 また、「民主の女神」で検索すると、最初に出てくるのは天安門事件があった1989年の5月、天安門広場に民主化運動のシンボルとして、学生たちがニューヨークの「自由の女神」に似た「民主の女神」像…

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残り2216文字(全文3430文字)

牧野宏美

2001年入社。広島支局、大阪社会部、東京社会部などを経て19年5月から統合デジタル取材センター。広島では平和報道、社会部では経済事件や裁判などを担当した。障害者や貧困の問題にも関心がある。温泉とミニシアター系の映画が好き。

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