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感染で重症化も…医療的ケア児にコロナの影 療育施設行けず「発達への影響心配」

人工呼吸器を積んだバギーで出かける秋山真ちゃん(手前)と母仁美さん。「遊んでいる子どもたちを見て刺激を受けてほしい」と、外出時は近所の公園などを回ることが多い=東京都葛飾区で2020年8月4日、喜屋武真之介撮影

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 新型コロナウイルスの感染拡大は、生きていく上で医療的支援を必要とする「医療的ケア児」の生活にも影を落としている。当初逼迫(ひっぱく)していた消毒液などケアに不可欠な衛生用品不足は改善したが、感染による重症化の恐れから外出の機会や療育施設の受け入れが制限され、発達への影響が懸念されている。

 希少染色体異常で生まれつき障害がある東京都葛飾区の秋山真(まこと)ちゃん(4)は生後11カ月で退院した後も、人工呼吸器や胃ろうによる経管栄養などのケアを自宅で受けている。主に母仁美さん(37)が唾液や鼻水が気道に入らないよう小まめに吸引し、昼夜問わず6時間ごとに約1時間かけて胃ろうで栄養剤を注入。喉につながれた人工呼吸器のチューブからはシュー、シューと空気が通る小さな音が響く。

 厚生労働省などによると、医療の発達や新生児集中治療室(NICU)の増設に伴い、かつては生まれて間もなく亡くなっていた1000グラム未満の超低出生体重児や先天性の病気がある子供も救えるようになった。2005年度に9987人だった全国の医療的ケア児の推計値は、19年度には2万155人と倍増。人工呼吸器を必要とする児童も4000人を超えるとみられる。

秋山真ちゃん(左手前)の体を支えながら絵本の読み聞かせをする母仁美さん(右)と自宅に派遣された看護師=東京都葛飾区で2020年7月13日、喜屋武真之介撮影

 真ちゃんは3歳の誕生日には白血病であることが判明。再び約1年間の大半を病院で過ごした。「つらい治療を頑張ったご褒美に」と、今年4月の退院後に家族旅行を計画していたところ、新型コロナ感染が拡大。外出は近所を散歩する程度にとどめている。その上、通っていた療育園は、感染拡大が収束しないため児童の受け入れを今も制限。施設では遊びなどを通じて他の子供たちと交流し、「親だけの時に見られない真の新たな一面に気づけた」という仁美さんは「感染も心配だが、それ以上に発達への影響が心配」と懸念する。

 全国医療的ケア児者支援協議会事務局の森下倫朗(みちろう)さん(39)は「療育施設では、口から食べている他の子を見て経管栄養の子が『自分も食べてみよう』と頑張り始めたりするなど、子供同士の集団の中でこそ成長できることがある。医療的ケア児は感染すれば重篤化して長期入院もあり得るため、多くの施設が子供の発達と感染リスクのバランスを取りながら運営している」という。

 長期化する新型コロナの影響で介護する家族の負担が増える中、仁美さんは看護師が自宅訪問するサービス「医療的ケアシッター ナンシー」の利用を6月から始めた。認定NPO法人フローレンスが運営し、医療的ケアだけでなく遊びを通じた発達支援もする。居宅訪問型児童発達支援などの制度を使った最大3時間の利用で、子供を預けることもできる。「長い入院生活を終えて今が大事な時期なのに、コロナにより外で刺激を受ける機会が減っている。いろんな人と関わり成長してほしいので、在宅で療育的なサポートをしてくれるのはとてもありがたい」と、看護師と工作で紙を切り貼りする真ちゃんに目を細めていた。

 同協議会の森下さんは「医療的ケア児が増える一方、受け入れ態勢の整備は追いついていない。療育施設を増やすことはもちろん、感染症の流行時などに在宅支援で成長を支えるような社会にしていく必要がある」と指摘する。【喜屋武真之介】

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