農地再生の助っ人はミツバチ 仲間とゼロから挑戦 初収穫の蜂蜜も商品化 浪江

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ミツバチの様子を確認する佐藤繁芳さん=福島県浪江町立野で2020年8月21日午前11時50分、寺町六花撮影
ミツバチの様子を確認する佐藤繁芳さん=福島県浪江町立野で2020年8月21日午前11時50分、寺町六花撮影

 荒れ果てた農地を再生し、古里の景観を守りたい――。東京電力福島第1原発事故の避難指示が2017年3月に一部解除された福島県浪江町で、町民が避難先から通い、ミツバチの力を借りた農地再生に取り組んでいる。菜種やヒマワリ、ソバなど季節ごとの色鮮やかな花畑にミツバチが飛び交い、地力の回復や豊かな実りをもたらす。この場所ならではの循環が生まれようとしている。

 8月下旬、同町立野の沢上地区。約12ヘクタールのヒマワリ畑に、ミツバチの羽音が響いていた。壮観な眺めを写真に収めようと、車を止める人もいる。「想像していたものに、少しずつ近づいてきたかな」。佐藤繁芳さん(67)が胸を張った。避難先の同県本宮市から約60キロの道のりを週5日通い、畑で過ごす。

「百姓としては終わったな」

 原発事故前は沢上地区の農家の4代目として、代々引き継がれてきた畑でキュウリやミニトマトなど季節の野菜を育てていた。原発事故で町全域に避難指示が出されると、手入れされなくなった畑はヤナギの木が生えるほど荒れ果てた。「百姓として俺は終わったな」

 除染が進み、表土をはぐ際に雑草などが取り払われたことで畑は少しずつきれいになった。地区の避難指示も解除されると、気持ちが変わった。「このまま放棄したら、元に戻ってしまうな」。国などの補助を受け、自分の農地を中心に草刈りなどを始めたが、今度は疑問を持つようになった。「俺一人の農地を守っていくことは簡単。でも、それを…

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