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中西寛(ひろし)・京都大教授
急転直下の展開で安倍晋三首相が病気を理由に退任し、史上最長政権が終わりを告げることになった。辞任表明前は低迷気味だった政権支持率は一挙に跳ね上がり、安倍政権の遺産について内外の論評もおおむね好意的なものが多い。
先月まで最有力とは見られていなかった菅義偉官房長官が自民党総裁、次期首相となる見通しが急に強まったのも、政権への高評価の影響があるだろう。政権を継承する点では、第2次安倍政権を通じて官房長官を務めた菅氏が適任なのは間違いない。菅氏自身は無派閥だが、自民党7派閥中、総裁選出馬を決めた岸田文雄氏と石破茂氏の派閥以外の5派閥は菅氏を支持していて、国会議員票だけでも14日に行われる総裁選のほぼ過半数を押さえている。菅氏優位は固まっている。
菅氏が首相となれば、小渕恵三元首相に続き、改元時に新元号を披露した官房長官が首相の座に就くことになる。しかし小渕氏と菅氏の場合、類似よりも違いの方が大きい。小渕氏は竹下登政権で竹下派幹部として官房長官となった。小渕氏が後に首相となった主な理由も、元官房長官としてではなく、竹下派の盟友・橋本龍太郎首相が参院選敗北で辞任したのを受けた派閥人事だった。
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