メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

社説

クラスター弾条約10年 人道的軍縮の流れさらに

[PR]

 クラスター爆弾の製造や使用を禁じるオスロ条約の発効から10年となった。非人道的な兵器の廃絶へ向けた大きな一歩として改めて評価したい。

 問題とされたのは、紛争終結後に残された不発弾による民間人被害があまりに多いことだ。

 親爆弾から多数の子爆弾がばらまかれる。子爆弾の多くは大人の握りこぶしほどの大きさだ。不発弾は民家の庭先に落ちていたり、木の枝に引っかかっていたりする。子供や農民が知らずに触って犠牲になる悲劇が後を絶たない。

 2006年の第2次レバノン戦争ではイスラエル軍が子爆弾400万発を使い、100万発の不発弾が残ったと推定された。東南アジアでは今も、ベトナム戦争中の不発弾による死傷者が出ている。

 被害者支援に携わる国際NGOが声を上げ、積極的な国々と協力して交渉を主導した。

 国家の論理優先だった軍事の世界にも、冷戦終結後には市民社会の声が届くようになった。そのことを体現する条約でもある。

 1990年代に対人地雷禁止条約を作った方式の再現だった。ただ、対人地雷は既にあまり使われない旧式の兵器となっていた。

 クラスター爆弾は、ユーゴスラビア空爆やイラク戦争でも使われた。現役の主力兵器を禁止しようとする試みに抵抗する国は少なくなかった。保有火力の半分以上がクラスター爆弾だった米国は消極姿勢に終始した。

 他の大量保有国も事情は同じだ。結局、米国や中国、ロシアは現在も条約に加盟していない。

 それでも国際的な規範を確立した意義は大きい。非加盟の国でも使用へのハードルは高くなった。

 米国は発効後に一回も使っていない。保有は続けているが、「極限状況」にのみ使用できる兵器という位置づけに変えた。

 日本のメガバンク3行を含め、世界の主要金融機関はクラスター爆弾を製造している企業への投融資を禁止するようになった。投融資に倫理性を求める世界的な流れにも合致している。

 人道的な観点から軍縮を進める動きは、被爆者の声を重視する核兵器禁止条約につながった。この流れを確かなものとして根付かせていきたい。

コメント

投稿について

読者の皆さんと議論を深める記事です。たくさんの自由で率直なご意見をお待ちしています。

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

利用規約

おすすめ記事
広告
毎日新聞のアカウント
ピックアップ
話題の記事

アクセスランキング

毎時01分更新

  1. 複数選手が脱水症状 プリンセス駅伝でアクシデントが相次ぐ理由とは

  2. 83年国会答弁、内閣府「維持か答えるの困難」強弁 野党ヒアリング詳報

  3. バックアップ、5年「OFF」 富士通のマニュアルに誤り 東証システム障害

  4. FX投資詐欺の疑い7人逮捕 700人から計2億円超だまし取ったか 大阪

  5. 「政府が記録残すのは当然」新書版で削除 菅首相の著書「政治家の覚悟」

編集部のオススメ記事

のマークについて

今週のおすすめ
毎日新聞社は、東京2020大会のオフィシャルパートナーです