技術キーマン「引き抜き」で決裂 東電、ベンチャーとの蜜月から暗闘へ

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ピント設立の発表記者会見後、写真撮影に応じる(左から)パネイルの名越達彦社長、ピントの田中将人社長、東電エナジーパートナーの田村正常務=東京都千代田区で2018年4月24日、和田憲二撮影
ピント設立の発表記者会見後、写真撮影に応じる(左から)パネイルの名越達彦社長、ピントの田中将人社長、東電エナジーパートナーの田村正常務=東京都千代田区で2018年4月24日、和田憲二撮影

 東京電力ホールディングス(HD)の電力小売り子会社「東電エナジーパートナー(EP)」と、ITベンチャー「パネイル」との間で、合弁会社を舞台にした暗闘が繰り広げられている。毎日新聞が入手した内部文書や証言からは、人材や技術をめぐる企業小説も顔負けの攻防が浮かび上がった。業界が注目した「エナジーテック」と電力ガリバーとの提携の裏側に、一体何があったのか。詳細を報告する。【岡大介/統合デジタル取材センター】

ユニコーンの起死回生

 「提携した当初は、まさかこんなことになるとは……」。東電とパネイルの提携の内情を知るある関係者は、こうつぶやいた。エネルギー業界関係者から「東電とパネイルがもめているらしい」との情報を得た記者が東京都内で接触し、確認を求めたところ、重い口を開いたのだ。

 その内容を紹介する前に、まずはパネイルについて説明しておこう。東京工業大でシステム開発を学んだ名越達彦氏(39)がIT大手ディー・エヌ・エー勤務を経て、2012年に創業した電力小売りベンチャー企業である。折しも電力業界では16年に小売りが自由化され、低コストで電力の調達や需給管理ができるITシステムを武器とする同社は、業界期待の「エナジーテック」「ユニコーン(未上場の成長企業)」と目されてきた。

 だが18年、順風満帆に見えた経営が暗転する。需要の急…

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