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たたなづく

脳裏に届く虫の音=河瀬直美

 現代美術家の杉本博司さんによる、狂言と三番叟(さんばそう)の上演があり、ロームシアター京都(京都市左京区)に出向いた。こちらは京都市京セラ美術館(同)がリニューアルオープンするにあたり、開館記念となった展覧会「瑠璃(るり)の浄土」の関連プログラムである。演じるのは、野村家の親子3代。

 万作、萬斎、裕基の3人である。まずは人間国宝である万作さんによる月見座頭。目の見えない人が月見をするという不条理を描いているのだが、彼が舞台に現れた瞬間に、私はその空間に一瞬にして取り込まれてしまった。

 目が見えない彼が虫の声を聞きながら心で月を見るという。その姿から、実際には虫の音など舞台にはないというのに、この耳にもありありと聞こえてくるようだ。心で月を見るという彼の言葉に、居合わせた男はその盲者の心に映った月が自分には見ることができないことに嫉妬をする。そうして、これまで善き人として接していた男はひょう変し、つえを奪って放り投げ、彼を突き倒す始末。人の心の裏と表がなんとも言えない感情を伴っ…

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