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恋ふらむ鳥は

/96 澤田瞳子 画 村田涼平

 

 まだろくな肴(さかな)も運ばれてきていないにもかかわらず、すでに酒壺(さかつぼ)の大半を干してしまったらしい。広間には甘い酒の香が満ち、居並ぶ男たちの顔は真っ赤に染まっている。

 末席に控えていた十市(とおち)から、かろうじて酒の残っている小壺を受け取り、額田(ぬかた)は余(よ)自進(じしん)の背後に膝をついた。空になっていた余将軍の盃(さかずき)に酒を注ぎながらうかがえば、葛城(かつらぎ)はしきりに唇に盃を運びつつも、いっこうに酒を口に含んでいない。その証拠に、彼の盃にはいまだ満々と酒が満ち、灯火を映じて天井に淡い光を投げかけていた。

「いま、百済(くだら)の衆の意見を聞いていたのだがな。筑紫に建造中の大堤が出来上がり次第、今度は堤の左右に城を建てることになりそうだ。ついては西国諸国よりどれほどの仕丁(しちょう)(労働者)を集められるか、調べておいてくれ」

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