SUNDAY LIBRARY
岡崎 武志・評『いま、子どもの本が売れる理由』『中年の本棚』ほか
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今週の新刊
◆『いま、子どもの本が売れる理由』飯田一史・著(筑摩選書/1800円)税別
子どもの数は減り続けているのに、なぜか好調な児童書市場。しかもそれは近年の現象だ。いったい何があったのか。飯田一史(いちし)『いま、子どもの本が売れる理由』は戦後まで遡(さかのぼ)り、調査研究する。
ご存じだろうか。『かいけつゾロリ』『おしりたんてい』、ヨシタケシンスケの絵本、漫画による歴史本、各種図鑑など、いずれもヒットし出版界のドル箱である。そこには作り手の意識改革とともに、官民の地道な読書推進活動・政策があったことを本書は明かす。
絵本と読み物の両輪で、未就学児から小学校低学年まで絶大な支持を得る『おしりたんてい』は、作話と絵のコンビによるトロルが作者。最初から推理の手がかりを残し、「終盤に読者に読み返しを促すような展開を用意している」。子どもを侮らず、じつに周到な作劇法が取られていると知る。
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