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目は語る

9月 「ART in LIFE,LIFE and BEAUTY」展 生活の中にある芸術=高階秀爾

賀茂競馬図屏風 六曲一双のうち左隻 17世紀 サントリー美術館蔵

 1878年、パリ万国博覧会で日本館を訪れたフランスのある記者は、そこに出品された工芸品について、「何よりもまず実用的で実際の役に立つことを目指しながら、その実用的形態にきわめて自然に、ほとんど直観的に、豊かな驚きと楽しさに満ちた巧妙な装飾がつけ加えられる」という讃辞(さんじ)の文章を残した。

 このフランス人記者の讃辞のなかには、日本の家具、調度、什器(じゅうき)などの「実用的」工芸品が、そのまま優れた美的芸術であることへの驚きが表明されている。もちろんフランスにおいても、ロココの家具やセーヴルの陶磁器など、きわめて優れた工芸品が生み出され、高く評価されていたが、それら工芸品は「小芸術」(マイナーアート)に属するもので、絵画や彫刻などの「大芸術」(メジャーアート)とは格の違うものと考えられていた。だが万博会場に並べられた日本の工芸品は、そのような格の違いを乗り越えて、実用品でありながら優れた芸術表現でもあることを実証してみせたのである。西欧人を魅了したジャポニスムのもうひとつの効用と言ってよいであろう。

 実際、日本美術の代表的なものと言えば、屏風(びょうぶ)や襖(ふすま)絵は建具であり、小袖、打掛(うちかけ)は衣類、茶碗(ちゃわん)、徳利(とっくり)、銚子(ちょうし)は食器、手箱や料紙箱、重箱、長櫃(ながびつ)、飯櫃などは容器である。鎧(よろい)、兜(かぶと)など甲冑(かっちゅう)は戦闘のための武具、櫛(くし)や筓(こうがい)、簪(かんざし)は髪梳(す)きの道具であり、いずれも生活の必要から生ま…

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