
7月豪雨に続き、台風10号に見舞われた日本列島。各地で毎年のように大規模な自然災害が続く。そのたびに、鉄道やバス路線などが被害を受けて不通となり、中には存続が危ぶまれる事態も起きている。地方の公共交通は過疎化や車社会化で赤字を抱え、ただでさえ維持が難しい。地域社会のあるべき公共交通像を考える。
地元の自覚と行動が大前提 加藤博和・名古屋大教授
公共交通について「社会の基本的なインフラだから、国や事業者が責任をもって整備すべきだ」と考える人は多い。そして、災害で公共交通が失われると「原状復帰が原則だ」という声も上がる。だが、この考え方にこだわっているだけでは公共交通は守れない。
2007年にできた地域公共交通活性化再生法では、地域公共交通について最も主体的に考えるのは市町村と位置づけ、都道府県は広域的な見地から市町村と連携する。国はそれらの活動を支援し、事業者は情報提供とサービス向上に取り組むという役割分担だ。
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