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2020大阪都構想

2020年11月1日投開票の大阪都構想住民投票を巡る動きを追います。

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大阪都構想 反対の市民第一「住民参加、十分担保されず」「コロナ対策を優先すべきだ」

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大阪市議会で行われた都構想の制度案の採決=大阪市北区で2020年9月3日午後3時21分、加古信志撮影
大阪市議会で行われた都構想の制度案の採決=大阪市北区で2020年9月3日午後3時21分、加古信志撮影

 市民第一(武直樹市議)=反対討論

 私は、市民とつながる・くらしが第一大阪市会議員団を代表して、議案第134号「特別区設置協定書の承認について」及び議案第135号に対して、反対の立場から討論いたします。民主主義を成立させる前提条件として、次の二つが大変重要です。一つは、正確な情報が開示されていることです。そして、もう一つが、市民の皆さんの参加がしっかりと担保されていることです。

 1点目の正確な情報の開示については、例えば、財政シミュレーションに、相当な幅があるのであれば、市民の皆さんにさまざまなパターンをつくって相当な幅があることを理解できるように示さなくてはなりません。また、市民利用施設がなくなることが前提であるならば、そのことも正確に説明しなくてはなりません。どんな物事でもメリット、デメリットがあるのです。市民の皆さんにその事実を正確に伝えてこそ民主主義は成り立ちます。

 2点目は、住民参加が十分に担保されているのか、という点です。できるだけ多くの市民の皆さんがメリット、デメリットの正確な情報を知り、吟味し、最終決定するためのプロセスに参加するかが、ポイントです。この参加のプロセスを大事にすることこそが、民主主義の根幹です。今回の説明会は、開催回数、開催方法、どれをとっても前回並みにさえ実施ができません。これでは、住民参加が十分に担保されているとは、到底思えません。正確な情報を知る参加の機会をつくることは行政の責務です。

 なぜ、今なのでしょうか。今ではないと考えます。急ぐ理由は何なんでしょうか。民主主義を成立させる前提条件である正確な情報を開示することができません。そして、コロナ禍で、住民の参加を十分に担保することが難しいのに、なぜ今なんでしょうか。行政は市民の皆さんが生活する中で、また、活動する中で生じてくるさまざまな課題の解決に向けて、さまざまな政策に取り組んでいます。都構想は、行政が課題解決のために取り組んでいるさまざまな政策のうちの一つです。一方、コロナ対策も行政が今取り組まなくてはならない政策の一つです。

 皆さん、介護の現場が今、どんなことになっているかご存じでしょうか。毎日、私の身の回りにも、陽性者が出た、濃厚接触者になった、という報告が入ってまいります。例えば、毎日、通いのデイサービスにきて、お風呂に入っていた1人暮らしの高齢者が濃厚接触者になったら、どうなると思いますか。その人がデイサービスに通えない間のケアは誰がするのでしょうか。さらに、デイサービスの介護職員が陽性や濃厚接触者になった時、その開いた穴は誰が埋めるのでしょうか。現在、何の仕組みもありません。現場まかせで、現場は大混乱です。また、陽性者のケアをしていた職員でも、濃厚接触者と定義されなければ、PCR検査を受けたくても受けられません。「本当に、大丈夫だろうか」と確信がないまま、ケアを継続しています。ものすごい不安とプレッシャーです。どうしたら1人暮らしの高齢者が濃厚接触者になっても、自宅で安心して生活を継続できるかを考えていくのが行政や議会としては優先すべきことではないのでしょうか。また、ケアに不安がある介護職員が気軽にPCR検査をどうしたら受けられるのかを考えていくことが、行政や議会としては優先すべきことではないでしょうか。これらは一例で、これ以外にも考えなくてはならないことがたくさんあります。保育園、幼稚園、小中学校でも介護の現場と同じことが起こっています。

 信用保証協会の申し込みに必要な認定件数は、3月からの5カ月で3万8972件、昨年度の同じ5カ月は400件。実に97倍の伸びです。中小企業の支援は今後どうしていくのでしょうか。生活困窮者自立支援窓口における住宅確保給付金の申請件数は、4月からの3カ月で5568件。昨年度の同じ3カ月は19件。なんと293倍の伸びです。尋常な状況ではありません。また、区のイベントは、区民まつりをはじめとして軒並み中止で、実施することすらできていません。各種団体のイベントや研修会なども中止が相次いでいます。そして、大阪の重症患者数は突出し、病院や保健所は、引き続き大変な状況が続いていることはご存じの通りです。

 今述べてきた、これらの取り組まなければならないコロナ対策は政策です。都構想も同じく政策です。政策の優先順位は、どちらなのでしょうか。私は、市民の暮らしや命を守るため、コロナ対策が優先だと考えます。さて、民主主義の根幹の話に戻ります。役所や議員の事務所に、毎日「明日の暮らしがどうなるかわからない」と相談が寄せられ、市民の暮らしや命が脅かされているときに、民主主義の根幹である住民参加の十分な担保が「行政としてできるのか」ということです。私はできないと考えます。さまざまな地域活動やイベントが中止されて、さらに、公…

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