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かんぽの営業再開 まず企業統治立て直しを

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 日本郵政グループが近く、昨夏から自粛しているかんぽ生命保険の営業を再開する。当面は勧誘を控え、顧客を回って不正販売を謝罪する取り組みに徹するという。

 おわび行脚を、商品販売再開の地ならしと考えてはならない。不正の十分な調査と処分、再発防止策の徹底が欠かせない。

 不正に駆り立てたノルマの見直しや、悪質行為のチェック体制といった仕組みを整えるだけでは不十分だ。顧客アンケートなどを重ね、対策が十分に機能しているかを点検し続ける必要がある。

 営業を再開しても、早期の業績回復は難しいだろう。かんぽ生命は貯蓄性が高い商品が主力で、超低金利のため競争力が低下した。郵便局の信用で補ってきたものの、不祥事でそれすら失った。

 かんぽ生命が新商品を出そうとしても、政府の認可が必要で制約が大きい。親会社の日本郵政が出資比率を半分以下に下げれば届け出で済むようになり、自由度が増す。しかし、不祥事による株価下落で早期の売却は難しくなった。

 かんぽ生命の業績低迷は、日本郵便の経営を直撃する。郵便事業が細る中、金融事業の手数料収入に依存しているためだ。

 日本郵便は物流や不動産を収益の柱に育てる戦略を描くものの、豪物流会社の買収で巨額の損失を出すなど、失敗が続いている。

 このままでは八方塞がりだ。ただちに中長期の経営計画を刷新し、実行しなければならない。

 その前提となるのが、企業統治の立て直しだ。

 日本郵政グループの取締役は社外出身者が過半を占める。経済団体のトップなどそうそうたるメンバーだ。経験を生かして経営の方向性を示し、執行状況を監督する役割を期待されていたはずだ。

 しかし、取締役会は旧郵政省出身の幹部が決めた方針を追認していたのが実態だ。不正販売問題でも都合の悪い情報は上がらず、危機管理に失敗した。

 収益モデルを一から見直す起業精神が求められる。官の体質をひきずったままでは立ちゆかない。

 不正発覚後も、社外取締役の約8割は続投した。再建に対する責任を自覚しているのであれば、今度こそ企業体質を改め、グループの将来像を描いてもらいたい。

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