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社説

総裁選とアベノミクス どう転換するかが焦点だ

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 コロナ禍で戦後最悪の落ち込みとなった経済の立て直しは、次期政権の最重要課題の一つだ。

 自民党総裁選を争う石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長の3氏はアベノミクスについて、おおむね評価している。

 だが、金融緩和や財政出動に続く「第三の矢」の成長戦略を欠いた結果、政策はコロナ以前から行き詰まっていた。国内総生産(GDP)の2倍超に膨らんだ公的債務や格差拡大など弊害は深刻化した。アベノミクスをどう転換するかが焦点となる。

 安倍政権の継承を掲げる菅氏は「アベノミクスを前進させる」と訴えている。金融緩和と財政出動を続けつつ、インバウンド(訪日外国人)需要の復活やデジタル化推進で経済再生を目指すという。

 「経済優先」の姿勢は鮮明で、新型コロナウイルスの感染収束を待たずに観光需要喚起策「Go Toトラベル」の実施を主導したのも菅氏だった。

 成長戦略では中小企業の再編など構造改革にも言及している。背景には市場競争を重視する新自由主義的な発想もうかがえる。

 日本経済がバブル崩壊後30年近く続く低迷から抜け出すには、構造改革が必要なのは確かだ。

 だが、中小企業はコロナで甚大な打撃を受けている。雇用の7割を担う中小企業が淘汰(とうた)の波にさらされれば、経済基盤が崩れる恐れがある。再編よりも企業や働き手が安心して競争力向上に取り組める環境の整備が先決だ。

 アベノミクスは恩恵が大企業や富裕層にかたより、雇用拡大も非正規が中心だった。このため、コロナ下では解雇や雇い止めがすでに5万人超にものぼっている。

 岸田氏はこうした負の側面を認め、税制や教育・住宅支援の充実など分配政策で「格差是正を図る」と主張する。石破氏も「低所得層の可処分所得を増やす」と強調している。競争と分配のバランスは経済論戦のポイントとなる。

 ただ、3氏の主張はいずれも各論レベルにとどまっている。少子高齢化が進む中、持続可能な経済成長や社会保障制度をどう確保し、住みやすい国をつくるかという肝心のビジョンを示せていない。将来世代の生活を見据えた責任ある議論が求められる。

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