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ポポポポーン…「あいさつの魔法。」が教えてくれた音楽の力 歌を担当・松本野々歩さん

「あいさつの魔法。」を歌った音楽家、松本野々歩さん=東京都立川市で2020年9月7日、玉城達郎撮影

 魔法の言葉で楽しい仲間がポポポポーン――。東日本大震災の発生直後、こんなフレーズに合わせアニメの動物が現れるテレビCMが大量に流れたことを記憶している人は多いのではないか。企業のCM自粛に伴い、公益社団法人「ACジャパン」(旧公共広告機構)のあいさつ励行キャンペーンCMが急きょ流されることになり、老若男女が口ずさむなど社会現象になった。震災から9年半。歌を担当した東京都立川市の音楽家、松本野々歩(ののほ)さん(37)は、震災直後の放送に賛否もあったが、「音楽と向き合う意味を考え直す原点になった歌」と振り返る。

 このCMのタイトルは「あいさつの魔法。」。ACによると、小学校低学年までを対象にした2010年度の全国キャンペーン作品だった。子供があいさつをするたびに、動物が現れて友達になっていく様子を歌とアニメで表現している。

 CM放送は10年7月から始まり、震災発生後、多くの企業がCM放送を自粛する中で、民放各局が空いた放送枠に「あいさつの魔法。」のCMを差し込んで露出頻度が一気に増えた。

 松本さんは当時、CMソングを歌うことも多く、震災前年に「あいさつの魔法。」を依頼されたときは「初めて子供たちへのメッセージを歌う仕事でうれしかった」という。ただ、多くの仕事の一つで、震災前はテレビで見た記憶もほとんどないほどだった。

 震災後、図らずも大量に流れることになったCM。松本さんも家族と共にほぼ終日、被災地の惨状や社会の混乱を伝えるニュースにくぎ付けになる中、ニュースとほぼセットで流れる自分の歌声をどう受け止めていいか分からなくなった。

 ACには「震災の時に何であんなCMを流すのか」といった抗議が殺到し、しばらく電話が鳴りやまなかった。松本さんの元にもブログに載せていたメールアドレス宛てに連日、メッセージが届くようになる。「気持ち悪い」「死ね」「やめろ」。最初はそんな中傷のメールが目に入ったという。

 高校卒業後から細々と続けていた音楽活動。「メディアに出るとはこういうことなんだ」と大きな影響力を痛感した。父も音楽家で、子供のころから自然と人前で歌い、喜んでもらってきただけに反発を受けて戸惑った。

 「CMをもう流さないでほしい」。テレビを見るたびに祈るような気持ちになっていたとき、…

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