「全生徒にICT端末」わずか2% コロナで前倒しのGIGAスクール構想難航
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文部科学省は11日、全国の小中学校で児童生徒が1人1台のパソコンなどのICT(情報通信技術)端末を使って学ぶ環境を整える「GIGAスクール構想」について、公立校への端末配備の進捗(しんちょく)状況(8月末時点の速報値)を発表した。2020年度中に配備を終えるのが目標だが、8月末までに端末の納品が済んだのは1811自治体のうち37自治体(2.0%)にとどまった。名古屋市など7自治体では、納品が21年度以降にずれ込む可能性があるという。
全国の自治体が一斉に端末の購入を進めているため、メーカーの供給が追いついていないとみられる。
配備が完了していない自治体に納品時期の見通しを尋ねたところ、496自治体が「年内」、1271自治体が「年度内」と回答した。岩手県田野畑村▽福島県会津若松市▽名古屋市▽三重県菰野町▽島根県雲南市▽山口県岩国市▽沖縄県北大東村--の7自治体は、「年度内に完了しない可能性がある」と答えた。
文科省は4~5月に新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が出された際、「特定警戒都道府県」に指定された13都道府県については「8月までにオンラインによる家庭学習が全児童生徒に可能な環境を実現する」との目標を掲げてきた。しかし、13都道府県で8月末までに端末配備を終えていたのは、740自治体のうち17自治体(2.3%)だけだった。
文科省情報教育・外国語教育課の今井裕一課長は「市町村には努力していただいているが、新型コロナウイルスがどうなるか分からない中、『手綱を緩めずにしっかり取り組んでくれ』とお願いし続けたい」としている。
文科省は19年12月にGIGAスクール構想を発表し、23年度までの実現を目指すとしていた。しかし、新型コロナの感染拡大によってオンライン授業の環境を急いで整える必要が出てきたため、目標を20年度に前倒しすることを決め、今年度の1次補正予算に2292億円を計上した。【大久保昂】
世界で高まる端末需要、部品の品薄続く
自治体が端末の配備を急ぐ中、メーカーや供給業者は対応に追われている。
NECはGIGAスクール…
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