夫婦で楽しい2週間の船旅がまもなく終わろうとするとき、未知の感染症が発生した。部屋に隔離され検査を受ける。ある朝、部屋の扉がノックされ、医療用マスクをした医師が入ってくる。「ご主人の感染が判明しました」。厳かな声でそう告げられる場面は、想像しただけで恐ろしい。
現場に入った医師たちは「陽性告知」の際、高齢の夫婦が「今生の別れ」と感じ抱き合って泣き叫ぶのを何度も見ている。妻は「自分も付いて行く」と訴えるが、それはできない。隔離されている身だから。説明だけで30分、荷物をまとめるまで2時間ほどかかる。数日後、濃厚接触者である妻も陽性と判明する。しかし病室には限りがあり、夫と同じ病院へは行けない……。こうした事態を避けるため、対策本部は陽性者リストと乗客リストを突き合わせ、可能な限り同一病院に入れるよう改善を図った。
命を救うための対策は活動開始から10日ほど過ぎて軌道に乗っていった。次は家族対応など乗客の立場に立った細やかな対応が必要になってくる。
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