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中島岳志・評 『土中環境 忘れられた共生のまなざし、蘇る古の技』=高田宏臣・著

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『土中環境 忘れられた共生のまなざし、蘇る古の技』
『土中環境 忘れられた共生のまなざし、蘇る古の技』

 ◆『土中環境 忘れられた共生のまなざし、蘇(よみがえ)る古の技』

 (建築資料研究社・2750円)

土砂災害を防ぐ自然に沿う知恵

 集中豪雨、大型台風、地震。そのたびに土砂崩れなどのニュースが流れる。また、近年は各地で海岸の松枯れが相次いでいる。造園・土木設計施工を本業とする著者は、そのほとんどが、自然の平衡状態が崩れていることに要因があると指摘する。注目するのは「土中環境」。土中の水と空気の流れが停滞することで、問題が起きているという。

 著者が強調するのは、良い森とヤブの違いだ。良い森は植物種が多様で、樹木の世代バランスがいい。木々が密集しておらず、風通しや見通しもよい。一方、ヤブは森林植生の多様性が失われ、植物同士の棲(す)み分けが崩壊している。見通し・風通しも悪く、そこにいても心地よさがない。

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