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張競・評 『東京裏返し 社会学的街歩きガイド』=吉見俊哉・著

『東京裏返し 社会学的街歩きガイド』

 (集英社新書・1078円)

 やや隠喩ふうの書名だが、副題が示したように街歩きの本である。しかし、従来の町案内や文学散歩と違って、街歩きを通じて東京に対する見方や考え方をひっくり返すのが本書の狙いである。

 都市を空間的な展開として捉えるだけでなく、時間的存在として理解することは新たな発見の岸辺へ導くきっかけとなった。長い歴史的時間の積み重ねとして東京の街を眺めると、中世以前の時間層と近世江戸の時間層、明治以降と戦後の時間層が継起しながら、折り重なっていることがわかる。戦後、都心は大規模に改造され、文化の中心は六本木や青山から原宿、渋谷一帯に移った。しかし、中世や近世の時間に目を転じると、浅草、上野、本郷、湯島、神保町など都心北部において歴史時計の刻み方が違っていることがわかる。

 効率を重視する現代では、スピードが美徳とされている。地上にも地下にも分刻みの正確さを誇る電車が走り、頭上には高速道路が張り巡らされている。しかし、過去の時間層を旅するには緩やかな速度のほうが相応(ふさわ)しい。それにぴったりなのはゆったりと走る路面電車である。時速十三~十四キロの速さで移動しながら車窓の外を眺めると、見過ごされやすい街の表情や忘れられた風景が蘇(よみがえ)ってくる。レトロな雰囲気…

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