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安倍晋三首相の辞任表明から半月が過ぎた。3年前に「国難突破選挙」というスローガンを掲げて大勝した同じ人物が、新型コロナウイルス禍という本当の国難の最中に重責を投げ出した形だ。だが直後から、政権の支持率は急上昇しているという。
病院や保健所や介護施設でも、業績悪化にあえぐ企業や店舗でも、トップや現場は歯を食いしばってコロナ対応に当たっている。働かなければ食べられないからと、危険な仕事をこなしている人も無数にいる。そんな中で、コロナ対応に迷走を続けた首相が先に辞めることに、多くの日本人は寛容だ。そこには病気をいたわる「情」が満ちているが、「理」はあるだろうか。
第2次安倍政権での首相は、強さではなく弱さ、リーダーシップではなく助けてあげたくなる物腰で、確固たる支持層を獲得してきた。不勉強ぶりや脇の甘さが、逆に感情移入の対象となったのだ。その点は「そういうものなのか」と理解するしかないのだが、困ったのは、政権の施策への批判までもが感情論とみなされたことだ。「誰が」ではなく「何をどうやって」を議論しているのに、「首相が嫌いなのだろう」で片づけられる。実に息…
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