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社説

日本記者クラブ討論会 菅氏のビジョンが見えぬ

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 自民党総裁選の公開討論会が日本記者クラブ主催で開かれた。石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長の3人が顔をそろえた。テーマは、新型コロナウイルス対策や経済、外交政策など多岐にわたった。

 最も発言機会が多かったのは最有力候補とみられる菅氏だった。にもかかわらず、菅氏の発言は目先の個別政策にとどまり、大きなビジョンは見えなかった。

 なかでも、外交・安全保障政策で、それが顕著だった。米中対立が激化して「新冷戦」とも評される中、日本外交のかじ取りをどうするのかは最重要課題の一つだ。

 ところが、菅氏は中国との向き合い方について「主張すべき点はしっかり主張しながら、一つ一つ課題を解決する」とだけ語った。これでは何も言っていないのに等しい。コロナが収束した後、習近平国家主席の来日をどうするかについても回答を避けた。

 岸田氏は、東・南シナ海での中国の一方的な現状変更の動きを問題視する考えを示し、石破氏は香港問題などを提起すると述べた。

 菅氏の外交手腕は未知数だ。討論会では、日米首脳による電話協議のほとんどに同席してきたと強調したが、同席するのと自身が交渉するのではまったく違うのではないか。

 経済・財政政策などに関しては、現状の追認に終始した。社会保障制度をどう持続可能にするかについて、コロナ対策を継続させていくことが大事だと強調しただけだった。

 コロナ対策はもちろん重要だ。だからといって、中長期の方針を示さない理由にしてはならない。

 一方、民放のテレビ番組で将来的な消費税の引き上げに言及したことを指摘されると、今後10年間は引き上げないという安倍晋三首相の発言を踏襲すると語り、火消しに努めた。

 菅氏は安倍政権の継承と前進を掲げるが、前進に関わる発信があまりにも乏しい。総裁選での優位な状況を受け、言質を取らせまいとして、「守りの慎重姿勢」をとっているのであれば残念だ。

 事実上の次期首相選びである。中長期的な視点での国のあり方や外交・安全保障の明確なビジョンを欠くようでは、不安が募る。

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