日本で陶芸に目覚めた英国人バーナード・リーチが濱田庄司と共に、1920年、英国セント・アイヴスで東洋風の登り窯を築き、リーチ工房がスタートして100年が経(た)つ。それは従来の大規模製陶所の生産スタイルとは異なる、陶芸家個人が小規模の仕事場を持ち制作するスタジオ・ポタリーの起源でもあった。
リーチ工房の最初期を支えた濱田庄司もまた23年、主に純粋美術を扱うロンドンの画廊で初個展を開き、陶芸作家として本格的に出発している。濱田ゆかりの地、栃木の益子陶芸美術館ではこの100年を機に「英国で始まり 濱田・リーチ 二つの道」展(11月8日まで)が開催中だ。二人の親交は、東西交流による先駆的陶芸家の誕生という意義だけでなく、その後の両国の陶芸観にも影響を及ぼしたと考えられる。
2002年、私が英国の美術館テート・セント・アイヴスの企画展の仕事で同館の女性館長と陶芸論を交わした折のこと。彼女は英国人陶芸家マーティン・スミスの作品について「器の形をしているけど入れ物じゃないのよ」と主張した。スミスの作品「円錐形の空隙」も、二つの器の距離を作家が厳密に指定した、器のインスタレーションである。「英国にはそういう“器の形をした造形表現”をする人が結構いますね。実は日本もそうです…
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