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「エール」放送再開 主演の窪田正孝「今のギスギスした心と戦時中の物語つながって感じた」

NHK連続テレビ小説「エール」主演の窪田正孝さん=東京都渋谷区で2020年9月4日、滝川大貴撮影

 NHK連続テレビ小説「エール」(総合、月~金曜午前8時など)の放送が9月14日から、約2カ月半ぶりに再開される。すでに放送された前半はコミカルな明るいシーンが多かったが、後半は、物語が戦争の時代へと突入し、主人公の作曲家、古山裕一は軍の要請で戦時歌謡を多く作曲。自分の曲に送られ、戦地へと向かった若者たちが戦死した事実に裕一が思い悩むなど、シリアスな場面も増える。新たな展開を見せる“シーズン2”の見どころを、裕一を熱演する主演の窪田正孝に聞いた。【佐々本浩材】

2カ月半、撮影が休止 福島弁だけは練習

 「エール」は、「船頭可愛や」などの流行歌や、「阪神タイガースの歌(六甲おろし)」などの応援歌を多く生んだ作曲家、古関裕而(こせき・ゆうじ)と妻の金子をモデルにした作品。福島の老舗呉服屋に生まれた古山裕一(窪田)が、のちに妻となる関内音(二階堂ふみ)と出会うことで、作曲家の道を歩き始め、ようやく作曲家として軌道に乗り始めるところまでが前半で描かれた。

 昨年9月に始まった撮影は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で4月から中断。6月16日に再開されるまで約2カ月半、完全にストップした。収録済みの分で放送は続けられたが、6月29日から一時休止し、再放送を続けていた。長い朝ドラの歴史でも、異例の展開だ。

 「本当にまた『エール』を、続きから皆さんに見ていただける機会を作れたことが本当にうれしいなと思います。また、本当にたくさんの方にドラマを見てもらっているということを、いろんな方面からお話をもらいまして、去年の9月から撮影をずっとやり続けてきて良かったなと思いました。シーズン2といっても過言ではない、この後半戦のエールを皆さんにどんなふうに楽しんでもらえるか、楽しみです」

 裕一にとって、最も大事なバックボーンが出身地の福島だ。窪田は自宅で待機していた間も福島弁の練習は続けていたという。

 「やっぱり福島弁だけは忘れたくなくて、録画していた『エール』を見直したりして、ちょっと耳で(福島弁を)確認したりとかというのはずっとやってましたね。録画した自分のセリフを発してみたりとかして、耳でなじんで、口でも覚えるという感じ。東京に引っ越し、裕一が東京になじんできて、福島弁から遠ざかりつつあるんですが、あまり東京に染まりたくないという心もありまして(笑い)。(福島の幼少期からの友人である村野)鉄男(中村蒼)や、福島の家族としゃべったりする時に出てきたり、感情を表したりする時や、つい本音でしゃべるには福島弁になってしまう。ここからは東京弁というふうにはせずに、そういうリアルなニュアンスにしたくて。そのためにも日常的に福島弁も取り入れて、少しでも福島との距離を近くに感じられたらいいなと思って過ごしていました」

緊張した撮影再開初日

 こんなに長い休みは経験があまりない。20代半ば以降は、ドラマ、映画に出演作が続き、休みなく走り続けてきた。8月で32歳になった。「自分のプライベートの状態を良い状態にして仕事をしていくスタンスに、落ち着いたら変えていきたいと個人的に思った」と、仕事への考え方も少し変わるきっかけになったと明かす。

 そんな長期の休みから、久しぶりにスタジオ入りした初日はかなり緊張したようだ。

 「結構、ど素人感満載でしたよ。再開後最初の撮影で(二階堂)ふみちゃんと(撮影された映像を確認する)チェックを見たんですけど、僕、全然目が開いてなくて。気合が入りすぎたのか、前の日、寝られなかったんですよ。NGを出しちゃったりとか。ふみちゃんとのやりとりも次のシーンからは普段の感じになったんですけどね」

コロナ禍の状況 戦時中の物語とつながって見えた

 モデルとなった古関は戦争中、「露営の歌」「暁に祈る」「若鷲の歌(予科練の歌)」など多くの戦時歌謡を発表した。ドラマは、14日から再開される第14週こそ裕一の元に田ノ上五郎(岡部大)という弟子入り志願の青年がやって来るという明るい話だが、第15週(21~25日)は戦時色が強まり、裕一の「露営の歌」が大ヒットする。裕一には軍から作曲の依頼が舞い込むようになる。

 「戦時歌謡で特に注目され、西洋音楽で勉強したことが吉となって、裕一には仕事がどんどん舞い込んでくる。彼はずっとコロンブスレコードでくすぶっていた時代があって、最初は全然売れなくて採用されないし、レコードにもならない。彼の中には音の(歌手になる)夢のこともあったので、一種の承認欲求を満たされた瞬間というのは多分あったと思うんですけど、いつの間にか戦争は人の心をむしばんでいく。(そうした曲づくりが)自分の使命だと思っている間に、周りを見たら誰もいなくなっていた。いつのまにか、自分が正しいと思っていることで、自分を守ることしかできなくなっていたというふうに、裕一はなっていたんじゃないかと思って演じていました」

 撮影が中断したのは、放送再開の第14週の途中。再開後にまもなく、戦時中の物語の撮影に突入した。新型コロナの感染が拡大して以降、デマや流言があふれ、感染者を非難したり差別したりする事例が問題になっている。社会全体が不安に押しつぶされそうな雰囲気も感じる。そんな現在の社会が、戦時中の物語と窪田の中でつながる部分があったという。

 「緊急事態宣言が出る前まで…

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佐々本浩材

1990年入社。大阪学芸部、メディア情報部などを経て、東京学芸部へ。演芸、放送分野を長く取材。

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