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恋ふらむ鳥は

/102 澤田瞳子 画 村田涼平

 葛城(かつらぎ)が日の当たるところを歩む限り、その足元には闇の色の影が落ちる。陽光の決して落ちぬその暗がりに、鎌足(かまたり)は日夜、氷室を穿(うが)ち続けている。そんな気がした。

「わたくしには、鎌足どののような覚悟はありません。そんな宮人(くにん)がお仕えしてもいいのでしょうか」

「はい。よろしいのです。誰もかれもが臣(やつがれ)の如(ごと)く振る舞えば、葛城さまにかえってご迷惑をかけましょうほどに。ただ、葛城さまにお仕えする以上は、誰かが氷室を拵(こしら)えねばならぬのだとお心にかけておいていただければ」

 いつしか空を覆っていた雲は去り、淡い月影が一面の雪景色を照らし付けている。男にしては濃い睫毛(まつげ)に覆われた目を眇(すが)め、「こう申してはなんですが」と鎌足は付け加えた。

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