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文芸ジャーナリスト・酒井佐忠さんの「詩」に関するコラム。

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今年の田中裕明賞=酒井佐忠

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 今年の第11回田中裕明賞(ふらんす堂主催)が、生駒大祐句集『水界園丁』(港の人刊)に決まった。22歳で角川俳句賞をとり、詩性にあふれた青年俳人として活躍しながら早世した田中裕明を顕彰し、未来を担う俳人を見出す賞である。今年から選考委員が、佐藤郁良、関悦史、高柳克弘、高田正子の4人の新メンバーとなり注目されていたが、コロナ禍のため例にもれず、リモートによる選考委員会になった。

 『水界園丁』は、伝統的な四季別の構成をとりながら、現代の「新しみ」を体感させる創造的な句集である。<よぎるものなきはつふゆの絵一枚>、<天の川星踏み鳴らしつつ渡る>など、美的で抒情性に満ちた句。その一方で、<言葉冷たし草にかむさる雪よりも>のように、「言葉」の真実性への違和感など、現代の危うい感覚をとらえている句も目立つ。「感覚的で不思議な実感」(佐藤)、「美意識と独自の新しみが魅力」(高柳)な…

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