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「野生動物減り続けている」 愛知目標「達成できず」 国連が生物多様性報告書

水揚げされるクロマグロ。太平洋や大西洋で資源量の減少が懸念されている=鳥取県境港市の境漁港で2020年6月5日、柴崎達矢撮影

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 国連の生物多様性条約事務局(カナダ・モントリオール)は15日、生物多様性の損失を止めるために2010年に各国が合意し、今年期限を迎える「愛知目標」の達成状況を評価した報告書を公表した。愛知目標が掲げる20の個別目標のいずれも「完全に達成されたものはなかった」と結論付け、森林減少や種の絶滅の進行に歯止めがかかっていないとして各国に対策の強化を求めた。

 報告書は「地球規模生物多様性概況第5版」。各国に生物多様性の保全対策を促す目的で同事務局が約5年おきに公表している。6年ぶりとなる今回は、10年に名古屋市で開かれた国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された愛知目標の達成状況を各国の報告などに基づき分析した。各国は今回の報告書の内容を踏まえ、21年5月に中国・昆明で開かれるCOP15で、今後10年間の新たな国際目標を決める。

 報告書は、20の個別目標のうち14項目が「達成されなかった」と評価。「水産資源の持続的な漁獲」を目指す目標は「海洋資源の3分の1が乱獲されており、10年前より悪化している」。「絶滅危惧種の絶滅・減少を防止する」目標についても「推定100万種が絶滅の危機にある。野生動物の個体数は1970年以降で3分の2以上減り、10年以降も減り続けている」と指摘した。一方で「保全活動がなければ、鳥類や哺乳類の絶滅数は少なくとも2~4倍になっていた」として、目標の達成を目指す取り組みを続ける意義を強調した。

野焼きが原因とみられる火災。南米アマゾンの世界最大の熱帯雨林では、違法伐採や野焼きによる森林破壊が深刻化している=ブラジル北部ウルアラーで2019年9月7日、山本太一撮影

 残る6項目は「部分的に達成された」と評価。「自然保護区を陸域の17%、海域の10%に広げる」目標は、数値こそ達成される見込みだが、保護区内の生物保護や効果的な管理という点では「不十分」とした。

 目標が未達成だった理由については「各国が設定する目標の範囲や水準が、愛知目標の達成に必要な内容に見合っていなかったため」と分析している。同条約事務局のエリザベス・ムレマ局長は「人類は岐路に立っている。いま私たちが取る行動や決断は、人類を含む全ての種に対し、良くも悪くも大きな結果をもたらす」と早期の行動を促す談話を出した。

【信田真由美】

「具体的な数値目標を立てられなかったことが一因」

香坂玲(りょう)・名古屋大教授(国際資源管理)

 愛知目標が達成できなかったのは、国や企業、市民の行動変化につながる具体的な数値目標を立てられなかったことが一因だ。愛知目標に続く新たな国際目標づくりでは、数値目標をより明確にし、各地域の特性や文化なども十分に考慮することが重要だ。

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