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平松 洋子・評『剱岳--線の記 平安時代の初登頂ミステリーに挑む』髙橋大輔・著

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先人への敬意と気迫を胸に千年前の頂の謎に迫る

◆『剱岳-線の記 平安時代の初登頂ミステリーに挑む』髙橋大輔・著(朝日新聞出版/税別1700円)

 探検家、髙橋大輔が四年を費やし、日本の山に秘められた歴史的ミステリーに挑んだ。

 かつて実在したロビンソン・クルーソーの住居跡を発見、画期的な探検実績をもつ著者は、あらたな挑戦の場として、日本でもっとも登頂が困難とされる北アルプスの剱岳(つるぎだけ)(標高2999メートル)を選ぶ。一歩ずつ、難場を越えて謎解きに迫る展開が、緊迫感のある読み応えをもたらす。

 本書の題名『剱岳-線の記』は、もちろん新田次郎の小説『劒岳・点の記』に呼応している。明治40年、測量のために剱岳登頂に成功した日本陸軍参謀本部陸地測量部・柴崎芳太郎は、山頂でおよそ千年前の仏具を発見する。つまり、遙(はる)か昔、何者かが剱岳登頂を果たしていたという事実。新田次郎は小説を執筆するさい、この事実に関する推論を語ると、勉強不足だと諫(いさ)められたり、感情的に否定されたりもする。不可解…

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