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特集ワイド

拝啓 新首相・菅義偉様 あなたの国家像、いつ聞けますか

安倍政権の官房長官として事実上最後となる3213回目の記者会見で笑顔を見せる菅義偉官房長官=首相官邸で2020年9月14日午前11時22分、竹内幹撮影

 16日の衆参両院本会議の首相指名選挙で、菅義偉・自民党総裁(71)が新首相に選出され、同日夜には菅内閣が発足する。7年8カ月の最長政権の終わり、そして新たな始まりの日。「安倍政権の継承」を訴える菅さんは、その先にどんな国家像を描いているのだろう。元長官番記者である私は、新首相に手紙を書くことにした。

 2020年9月16日 元番記者・鈴木美穂

 電光石火のごとく自民党内をとりまとめる手腕はさすがでした。菅さんの年来の持論である派閥解消論はさておき、「数は力」という派閥のパワーを糾合して政敵を退けた軌跡を見ると、まさしく「勝負師」「人たらし」の本領発揮とお見受けしたのです。

 私が長官を担当したのは第2次安倍晋三内閣発足直後の2012年12月から14年3月末のこと。菅さんが、人事を介して霞が関を掌握する直前まででした。そういえば、官房長官になりたての頃、番記者の私たちは幾度となく「総理への野心は?」と尋ねましたが、菅さんは決まって「ないッ!」と笑っていましたね。

 就任当初の菅さんには、初心を大切にする様子がうかがえました。番記者との雑談中、故郷・秋田の話になることもありましたね。菅さんは「秋田の温泉っていいんだよ。オヤジの墓もあるしな」と誇らしげでした。そして、立身出世話。雪深い農村に農家の「長男坊」として生まれ、高卒後に「人生を思い切り生きたい」と実家を飛び出した話。20歳で入学した法政大を卒業し、就職した電気設備会社で「世の中を動かしているのは政治だ」と気づき、地盤も看板もない政治の世界に飛び込んだ――。そうしたストーリーも、菅さんは記者の質問に答える形でよく話してくれました。

 市井の感覚に根ざした政治から一歩ずつ歩を進めてきた「たたき上げ」の人生。だからなのか、菅さんは人の心の機微に敏感でした。私の父が急逝した時、菅さんはこう声をかけてくれました。「つらいですね……。大丈夫ですか」。ぼくとつとしたあの語りが、しみじみと心に染みました。

 一方で、尊敬する同志と見込んだ安倍さんへの忠義心を隠さなかった。たたき上げの菅さんと、祖父に首相、父に外相を持つ政界サラブレッドの安倍さん。違いはあれど、2人が固い絆で結ばれていたことは、菅さんが時折口にした「安倍首相ってすごいよねえ」の一言から垣間見えました。

 安倍さんの辞任会見をテレビで見ていた時、脳裏に浮かんだのは菅さん、ポスト安倍の最有力に躍り出ていたあなたでした。でも、毎日2回の官邸記者会見やバックヤードでのオフレコ取材などを…

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