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恋ふらむ鳥は

/103 澤田瞳子 画 村田涼平

 大(おお)海人(あま)はいまだに人前でも、額田(ぬかた)をかつての妻と呼ぶ。つまり鎌足(かまたり)は額田に、そんな大海人の気持ちを捕えておけと告げているのだ。冗談ではない。先ほど当の大海人を振り切ったばかりなのに、そんな真似(まね)ができるものか。

「それはいかがでしょう。葛城(かつらぎ)さまに仕えるわたくしが大海人さまと再度親しくなっては、人が要らぬ口を叩(たた)きます。葛城さまと大海人さま、兄弟の王子がともに老いた女子(おなご)にたぶらかされていると、戯歌(ざれうた)にされるかも」

「戯歌、けっこう。面白いではありませんか。それぐらい馬鹿(ばか)馬鹿(ばか)しい話にしてしまえば、讃良(さらら)さまも臣(やつがれ)の企(たくら)みの意図に気づきますまい。これは額田どのにしかできぬ大任です。よろしくお願いいたしますよ」

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