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社説

除染なしの避難解除 拡大適用はすべきでない

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 福島県内の帰還困難区域について、国が除染を行わずに避難指示を解除できる新たな仕組みを設ける。東京電力福島第1原発事故後、除染を前提にしてきた復興政策の転換と言える。

 帰還困難区域のうち、元の市街地などを人が再び住めるよう除染している「復興拠点」は6町村にある。ただ、帰還困難区域全体に占める割合は8%にとどまる。

 新しい仕組みは、大半を占めるその他の区域について、住民が居住しないことを前提に自由な立ち入りを認め、公園などとして活用できるようにする。

 完全な除染は必要でなくなるが、放射線量の低減という従来の解除要件は残す。この方針に原子力規制委員会も同意した。

 きっかけは福島県飯舘村が2月に国に出した要望書だ。村では一部地区だけが未解除のまま取り残された状態となっている。村は復興拠点外の除染にこだわらず、地区を一括解除することを求めた。

 他の5町村には追随の動きはない。むしろ、国には復興拠点外の除染について展望がなく、「飯舘モデル」に従うよう迫られるのではないかと警戒する声もある。

 新しい仕組みは、あくまで町村側が望んだ場合の例外的な規定に位置付けなければならない。拡大適用をすべきではない。

 国はまず、復興拠点外の避難指示解除をどう進めるかという大きな方針を示す必要がある。

 地元町村がこれまで再三、国に求めてきたことだ。

 法律では、原発事故による汚染への対処は「国の責務」と定められている。このまま新たな仕組みだけが先に設けられたのでは、責任がうやむやになりかねない。

 国の動きが遅いのは、除染にかかる巨額の費用の問題があるためだろう。ただ、今も帰還するかどうか迷っている住民は多い。国の方針が見えないことも理由の一つであり、判断をこれ以上先延ばししてはならない。

 事故から10年近くたち、地域ごとの事情の違いが目立ってきている。帰還困難区域が大半を占めるまちには、まだようやく復興の緒についたばかりのところもある。

 国は地域ごとの事情や意向に配慮しながら、これからの復興政策を進めなければならない。

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