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社説

大坂選手のマスク 反差別への共感広げたい

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 テニスの全米オープンで、大坂なおみ選手が2年ぶりの優勝を果たした。力強いプレーもさることながら、人種差別に抗議する黒いマスク姿が大きな反響を呼んだ。

 決勝まで7試合があった。今回はそれに合わせ、白人警察官らに殺害された黒人被害者7人の名前がそれぞれ記されたマスクを用意し、試合ごとに着けて入場した。

 ハイチ出身の父と日本人の母を持ち、3歳からは移民国家の米国で育った。人種差別への抗議が拡大する中、マイノリティーとして、自らも声を上げた。

 「私はアスリートである前に一人の黒人女性。白人が多数を占めるこの競技で、議論が始まれば正しい方向に踏み出す一歩になる」

 全米オープン直前の大会ではツイッターにそう書き込み、抗議のボイコットを表明した。最終的に棄権は撤回したが、反差別の強い意思を示す行動だった。

 スポーツと政治は切り離すべきだと言われる。選手らが政治宣伝に利用される危険があるからだ。

 だが、人種差別は国際社会が撤廃を求める普遍的な人権問題だ。政治的な立場とは関係なく、その根絶を訴える意見は尊重されなければならない。

 米スポーツ界は人種差別に揺さぶられてきた。4年前にはアメリカンフットボールのNFLで国歌斉唱時に起立せず、差別に抗議した選手が非難された。翌年から自由契約となり、3年以上もプレーできない状態が続いている。

 企業も差別の問題と向き合っている。大坂選手と契約する米国のスポーツメーカーは、このNFL選手をあえて広告で起用し、抗議の姿勢を示している。

 世界のトップ選手の中には、社会問題について積極的に発信する人が多い。大坂選手にも、そうした意識が生まれているのだろう。

 優勝直後のインタビューではマスク着用に込めた思いを聞かれたが、逆に「あなたが受け止めたメッセージは何でしたか」と取材者に問い返した。その言葉は社会への投げ掛けでもあった。

 スポーツには人種や民族、国籍の違いを乗り越える力がある。そんな価値を共有する公正な社会のために、アスリートたちが声を上げている。次は私たちの行動が問われる番だ。

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