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#最後の1年 東大アメフト部

「裏方」コロナ禍で表舞台へ 東大アメフト部150人、一体感増す

東大アメフト部の新型コロナ対策の先頭に立つ富永藍(右端)と天野裕香(左端)、八柳旭。笑顔でも選手たちを後押しする=同部提供

 新型コロナウイルスの収束が見通せない中、学生スポーツも「ウィズコロナ」で活動を再開している。チーム競技は対策を尽くしてもクラスター(感染者集団)発生の危険と隣り合わせで、悩ましい。そんな中、医療関係者も目を丸くする一歩進んだ取り組みを始めたチームがある。東大アメリカンフットボール部。その主役は「裏方」だ。

 梅雨明け直前の7月下旬、「赤門」で知られる東大本郷キャンパス(東京都文京区)の「御殿下(ごてんした)グラウンド」。部は4カ月ぶりに練習を再開した。3月下旬に活動自粛して以来の再会で部員たちの会話にも花が咲く。

 だが背後からピシャリと声が飛んだ。「マスクしてね」。ばつが悪そうにずらしたマスクを元に戻す部員たちを横目に「なんか私たち、口うるさいおばさんみたいだね」。声の主は、部内の感染対策の責任者に就いたトレーナーの富永藍(24)=文学部4年=だ。同期の同じくトレーナー、天野裕香(21)=教育学部4年=と苦笑いを浮かべた。

 富永は新潟県出身。「やりたいことは、できる時にやらないといつかできなくなる」という行動型だ。小中学校では選手としてバレーボールに打ち込んだ。県立新潟南高2年の時、1年間休学して米オハイオ州に交換留学。卒業後に1年間浪人して東大に合格した。勧誘でアメフト部の魅力を熱っぽく語る先輩トレーナーの姿がまぶしく映り、自らもこの道に進んだ。

 部の活動は多くの「裏方」が支える。選手100人強に対し、学生スタッフの数は実に50人弱。練習・試合の運営や渉外活動を担当するマネジャー、広報活動などを担うマーケティングスタッフ、戦術分析などに取り組むスチューデントアシスタント、プログラミング技術を駆使して活動全般をサポートするシステムエンジニア――など役割はさまざま。その一つのトレーナーは選手の体調を管理し、けが人に復帰までのトレーニングメニューを提示し、万全の状態でフィールドに戻すのが役目だ。

 4年生のトレーナーは富永と天野の2人だけで責任は重大だが、選手と1対1で対話できるポジションに富永はやりがいを感じている。チームは関東大学最上位リーグ「トップ8」に昇格した昨季、2勝5敗の6位と健闘。今季にさらなる飛躍を懸けており、富永も「ラストイヤー、2人で頑張ろう」と天野と誓い合っていた。

 そんな時にコロナが襲来した。政府の緊急事態宣言の解除を受けて6月以降、同じトップ8に所属する強豪私学は次々と練習を再開させたが、東大は大学当局が慎重だった。実力差を埋めるには一分一秒の練習時間も惜しく、部全体に焦りと不安が広がった。7月に入り、大学は活動再開に向け、学内運動部それぞれに感染対策の代表者「COVID―19管理者」を1人ずつ置く制度を始めた。富永は立候補し、重責を引き受けた。

 だが、どこまで対策を徹底すればいいのか。前例のない取り…

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黒川優

毎日新聞東京本社運動部。1990年、埼玉県生まれ。2014年入社。松山支局、神戸支局を経て19年5月から現職。サッカー、ラグビーなどを担当し、現在は主に大相撲を取材。本気で大銀杏を結おうとして、19年夏ごろから半年ほど髪を伸ばし続けていたが、思った以上に周囲からの評判が悪く、やむなく「断髪」した。

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