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奈良の小中生に1人1端末貸与 GIGAスクール構想で 現場から不安の声も

配布されたばかりの端末を操作する中学生ら=奈良市立富雄第三中学校で2020年9月14日午後3時24分、稲生陽撮影

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 全国の小中学生に1人1台のタブレットやパソコンを貸与する国の「GIGA(ギガ)スクール構想」で、奈良市で9月から、全国に先駆けてタブレットの配布が始まった。小中学生1万人以上の自治体では全国で最も早く、今月中に市立小中全64校で貸与が完了する見込み。子どもらは5年間同じ端末を使い続ける予定だが、更新時の購入費や修理費には見通しがついておらず、教員のICT(情報通信技術)指導力も十分とは言えない状況に、現場からは不安の声も漏れる。【稲生陽】

 同構想は小中学生に1人ずつ学習用端末を配備し、校内の無線LAN環境も増強するもの。2019年夏の文部科学省の予算要求段階では校内の通信環境整備のみが対象だったが、同年末に発表された構想では5年で全児童生徒に端末を配備する方針に転換。新型コロナウイルスによる休校が相次ぐと、計画の前倒しが決まった。

 文科省のICT活用教育アドバイザーも務める奈良市教委の谷正友・学校教育課情報教育係長は「まさかこの1年でここまで大きく状況が変わるとは。自治体側も乗り遅れると補助金がつかないので、各教委ともとにかく始めるしかなかった」と話す。

 県内では、39市町村中33市町村がタブレット計9万6637台を共同購入。残り6市町村も単独での調達などで、今秋中にはICTの教育環境が整う見込みだ。子どもらは学校のほか、毎日自宅にタブレットを持ち帰って家庭学習でも使うことを想定している。

 一方、文科省によるICT教育の実態調査によると、県内は教員が成績データの管理などに使う校務用パソコンの配備率が全国で唯一100%に満たない(今年3月現在)など、教員のICT環境は長年全国最悪レベルが続く。ICTの活用指導力は各項目とも全国ワースト2、3位で、教員のICT指導力には疑問符も付く。

 これに対し、県教職員組合の吉本憲司委員長は「子どもの実態に応じて教え方を考えるのが『教師力』。ICT指導力が教師力に取って代わるように言われると、違和感しかない」と危機感を口にする。「便利なツールではあっても、ICTを主にするのは現場の実態と矛盾する。構想の裏側には経済界や民間企業の意図を強く感じる」と話す。

 今回は、ほぼ全てが国の補助で賄われた購入費が5年後の更新時にどうなるかは不透明で、故障時の修理費も自治体負担だ。単独購入を選んだ御所市の担当者は「業者に保守管理してもらうことを重視して選択したが、事業規模が最終的にどのくらいになるのか分からない。子どもが毎日使うものがどのくらいの頻度で故障するのかも正直予想できない」と頭を抱えている。

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