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社説

新政権の経済政策 格差への目配りが必要だ

初閣議に臨む菅首相(中央)、麻生太郎副総理兼財務相(右)、茂木敏充外相=首相官邸で9月16日午後9時44分、玉城達郎撮影

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 アベノミクスの継承を掲げる菅義偉内閣が始動した。新型コロナウイルスの感染拡大で経済は戦後最悪の落ち込みとなったが、株価は2万円の大台を保っている。株式市場には、財政出動や金融緩和が続くとの期待があるようだ。

 だが、株高に目を奪われて、アベノミクスの問題点を見失ってはいけない。とりわけ目配りが必要なのは格差の拡大である。

 安倍政権は雇用の改善をアピールしてきたが、大半を占めたのは、賃金が低く、待遇も劣る非正規労働者だ。もともとアベノミクスが抱えていた問題が、コロナ禍に直撃されて一段と深刻化した。

 非正規労働者は今年7月、過去最大の131万人も減った。経済活動が再開されても、回復は鈍く、立場の弱い人たちにしわ寄せが集中した。こうした状況を放置してはならない。

 貧富の差が広がると、中間層が少なくなり、安定的な経済成長の基盤を損なう。格差是正の取り組みが急がれる。

 菅首相は、国の基本として示した「自助、共助、公助」のうち、自助の重要性を強調しているように見える。競争と効率を重視する新自由主義的な考え方が色濃く、格差を広げる恐れがある。

 首相がデジタル化推進を打ち出したのも、経済を効率化してコロナ後の成長を促進する狙いだ。生産性ばかりが優先されると、大企業が有利になり、中小企業や地方は置き去りにされかねない。

 格差是正には、社会保障の土台をしっかりしたものにする必要がある。

 高齢化で社会保障費は膨らみ、財源の多くは借金頼みだ。安倍政権はコロナ前から景気対策として大盤振る舞いを繰り返し、借金全体は1100兆円超に増えた。

 超高齢社会を乗り切れるか、不安が募る。コロナ危機とはいえ、無責任な財政膨張は許されない。

 菅首相は自民党総裁選の最中に消費増税の可能性に言及したが、その翌日に「今後10年は必要ないと発言した安倍晋三首相と同じ考えだ」と軌道修正した。

 不要不急の事業の見直しとともに、負担増の議論は避けて通れない。遅れるほど、将来世代の負担が重くなる。課題の先送りまで継承するのでは困る。

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