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ダイヤモンド・プリンセス号の実相/14 難問「重点病院」選び

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「受け入れには数々の困難があった」と話す神奈川県立病院機構の吉川伸治理事長=東京都内で、滝野隆浩撮影
「受け入れには数々の困難があった」と話す神奈川県立病院機構の吉川伸治理事長=東京都内で、滝野隆浩撮影

 神奈川県の感染症対策の方針を決定する3月19日の感染症対策協議会の数日前。神奈川県顧問の畑中洋亮(39)は旧知の橋本岳・副厚生労働相(当時)と会い、出来上がったばかりの資料を示した。橋本はダイヤモンド・プリンセス号に乗り込んで対策本部を指揮しており、新型コロナウイルスについて肌感覚で理解していた。「闘うには県内医療機関の『選択と集中』しかない」。畑中の主張に、橋本は深くうなずいた。その流れで横倉義武・日本医師会会長(当時)とも会い、賛同を得ていた。自分のやり方は国レベルでも通じる。自信をもって臨んだ協議会だった。

 ところが会の終盤、神奈川DMAT(災害派遣医療チーム)調整官の阿南英明(55)が「中等症の概念を入れるべきだ」と発言した。患者搬送に苦心した経験からの主張だった。この感染症の患者は陽性でも無症状、軽症が多い。半面、急に重症化する例もあり、「中等症」という考え方で患者を一度に多数受け入れる医療機関が必要なのだという。

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