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#やまゆり園事件は終わったか~福祉を問う

植松聖死刑囚の死刑判決が確定した相模原障害者殺傷事件。日本の障害福祉政策の問題点と、解決の道筋を探ります。

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#やまゆり園事件は終わったか~福祉を問う

⑦地域生活に「生きづらさ」 ケア充実の施設に「居場所」 理想と現実のはざまで

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両親が参加する意思決定支援の会議では、やまゆり園での様子から当事者の意思表現の仕方などを探った=横浜市港南区で
両親が参加する意思決定支援の会議では、やまゆり園での様子から当事者の意思表現の仕方などを探った=横浜市港南区で

 1960年代後半から70年代にかけて、重度の知的障害がある人たちのための大規模施設「コロニー」の建設が相次いだ。その後、国は施設から地域のグループホームなどに生活の場を移す「地域移行」を掲げるようになったが、移行は停滞している。施設を望む親、地域での生活を望む親もいる。それぞれの思いに耳を傾けると、この問題の根深さがのぞく。【上東麻子、宇多川はるか/統合デジタル取材センター】

「施設か地域か」という二項対立

 「施設か地域か」という二項対立は、実は複雑な問題だ。おおまかに言うと、親亡き後を心配して障害がある子どもを施設に入れる親や施設の必要性を訴える人と、地域のグループホームなどでの暮らしを支持する人たちとの対立を指す。

 津久井やまゆり園の建て替え時もこの議論が起きた。

 神奈川県は事件直後、元の規模とほぼ同じ150人規模の施設を再建する構想を打ち出した。これに対し、障害者団体などから「管理された入所生活が長期に及ぶと社会との隔絶につながる」と大規模施設に批判的な意見が相次いだ。一方、園の家族会の親たちからは「(施設は)やっとたどりついた場所だし、運営法人に信頼もある。元の姿に戻してほしい」という声が寄せられた。

 津久井やま…

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