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ぶんかのミカタ

ある文化的なテーマを上・下に分けて解き明かします。

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ぶんかのミカタ

いま旅を思う/上 多くの荷物を失い、多くを得た=作家・田中真知

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2012年に再び訪れたコンゴ河沿いの村で=筆者提供
2012年に再び訪れたコンゴ河沿いの村で=筆者提供

 旅で失ったものは多い。盗まれたものもあれば、うっかり忘れたものもある。知らぬ間になくなっていたものもあるし、失ったことに気づいていないものもあるだろう。

 失ったものの中でもひときわ印象深く思い出すのは、スーダン南部(現・南スーダン)の村で失ったパンツだ。洗濯して外に干していたパンツが盗まれたのだ。20代半ば、初めてアフリカに足を踏み入れて間もないときだった。

 日本で4枚1000円だかで買ったうちの1枚だった。その4枚で1年旅するつもりだったのに、それが3枚になってしまった。たかだかパンツ1枚なのにショックは大きかった。パンツそのものが惜しいというより、1年の旅にはパンツ4枚という思い込みがいきなり崩されたからだ。

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