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ポスト安倍外交 独自色どう出していくか

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 継承する安倍外交をどう展開するのか。菅義偉首相の具体的な戦略はまだ見えてこない。

 菅氏は就任記者会見で、安倍晋三前首相が掲げた「戦後外交の総決算」を目指すと表明した。

 日米同盟を基軸に据え、中国やロシアなど近隣諸国との安定的な関係を構築するという。

 安倍外交をそのまま引き継ぎ、以前からの日本外交の指針を堅持するという手堅い姿勢だ。

 茂木敏充外相を再任させ、安倍氏の実弟の岸信夫氏を防衛相に抜てきしたのも、その表れだろう。

 対外的には動揺を生まない利点はある。ただ、独自色を出すことは欠かせない。自身のビジョンを積極的に示さなければ、国際社会で信頼関係を築くのは難しい。

 激化する米中対立の中で日本の果たす役割は大きい。重要なのは両国のバランスをどうとるかだ。

 菅氏は中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する日米豪印の「自由で開かれたインド太平洋」構想を戦略的に推進すると言う。

 一方、アジアでの多国間の軍事的枠組みには「反中包囲網だ」と反対する。石破茂自民党元幹事長の案だが、主導するのは米国だ。

 米中双方に配慮したのかもしれないが、明確な戦略に裏付けられた言動なのか、判然としない。

 菅氏がとりわけ強調するのは日本人拉致問題の解決だ。だが前政権で明らかになったように、掛け声だけでは実現できない。

 経済制裁を維持しつつ、北朝鮮が拉致問題に向き合わざるを得ない状況をどうつくるか、新たな発想が必要になる。

 安倍路線を突き進むだけでは解決しないのが、沖縄の米軍基地問題だ。普天間飛行場の辺野古移設には沖縄県などが反対している。

 地元の理解がない日米同盟は機能しない。計画見直しや地位協定改定など新たな提案がない限り、事態打開にはつながるまい。

 政権交代は、行き詰まった外交問題を突き動かす好機でもある。

 韓国の文在寅大統領は日韓関係の発展を求めた。国交樹立後、最悪といわれる関係の改善に向けた対話を促進すべきだ。

 ドイツのメルケル首相は多国間の連携を日本に呼びかけている。国際協調の再構築を主導することも、新政権の責任だろう。

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